前回、紅葉シーズンの涸沢に行ったのは2018年のことだった。
富士山を除けば、こんなに高い山に登るは初めてで、しかも初のテント山行。担ぐ荷物は三脚やカメラレンズなどでゆうに20キロオーバー。そんな荷物を担いだ経験もないし、今考えると無謀なチャレンジだった。
結局、この時は人生経験したことないほどのグロッキー状態。少し登っては動けなくなって座り込む、それを繰り返し、這うようにして山小屋まで登った。
若いつもりでいただけに、そんな状態になったのがほんとに悔しくて、それから尾瀬や、槍にも登ったが、いつかは紅葉の涸沢カールへのリベンジするぞと、ぼんやりと思い続けていた。
2021年10月1日(金)。
その日、窓の外は台風の影響で荒れていた。
職場でコソコソとネットサーフィン※に興じていた時に、涸沢が紅葉のピークだという情報を目にした。しかも、台風が過ぎた後の土日は完全な「晴れ」だと言う。
行くしかない!
汚名返上のチャンスだと思った。
※ リンクをたどって次々とホームページを見ることをネットサーフィンと昔は言っていた。ネスケが全盛の頃だ。流れつかないボトルメールとかやっていたなぁ。
沢渡駐車場から上高地バスターミナル
あわててパッキングを済ませ、深夜の高速道路をひたすらカッとばした。
時刻は深夜3時を過ぎ、既に道は上高地へと向かう寂しい山道に入っているのに、車が列をなして走っている。しかも県外ナンバーだ。嫌な予感はしていたが、沢渡の駐車場に着いた時には既に第3駐車場には満車のランプが点灯していた。
バスターミナルを使うには第3駐車場が都合が良いのだが、あきらめて、その下の足湯公園駐車場に車を停めた。
バスの始発時間は、日によって違うが、この日の始発は朝5時。朝4時半にバスターミナルへ向かったが、ターミナルに着くと既に長い行列が出来ていた。完全に出遅れていた。
乗車待ちの行列は、停留所を先頭に、あまりに長すぎて建物を一周し、また停留所のあたりまで戻ってきていた。
行列は乗車券の券売機まで伸びると、一旦、そこで切れているが、券売機でチケットを購入すると、すぐ横の乗車待ちの列に並ぶようになっていた。
普通に考えるとチケットを購入せずに乗車待ちの列に並ぶ事はないので、行列は一本の長い列だと言っても差し支えないのだが、グループで来ている人達の中には、、
俺、こっちに並んでるわ!
じゃ、ワタシはチケット買ってくるね!!
と分業制を導入する抜け目のない連中が現れる。
しかし、私はぼっち一人。そんな様子を横目で見ながら愚直に待つしかなかった。
結局、バスに乗れたのは1時間半後の朝6時だった。
キャンプ場の混雑に驚く
6時45分に涸沢カールへ向けてスタート。
足をツリながらも、13時に涸沢ヒュッテに到着した。ヤマレコの記録を見ると休憩時間込みで6.5時間。
歩くペースは0.8~0.9(速い)と記録されてる!!
前回は同じ頃にスタートして到着が16時を過ぎていたのでリベンジ成功と言いたいところだが、道中、老若男女問わず追い抜かれまくっていたので、達成感はいまいち。(なんで皆、そんなに早いの?)
大キレットも経験し、気持ちだけは登山中級者だったのに現実とは実に厳しいものだ。
登山道を登って行く人の背中を見ていると、大半の人がテント泊の装備を担いでいるようだった。
涸沢ヒュッテに到着し、慌ててテントを張れるスペースを探したが、まだ13時だというのに、既にテントを張れるスペースなんて無いように見えた。
その後、続々と到着したテン泊登山者を受け入れ続けたところを見ると、探しようによってはスペースがあったのだろうが、途中で諦めた人もいるんじゃないだろうか?
中には通路に自分のテントを侵食させてる心臓に毛の生えた強者も居て、気の弱い私に無理な芸当だと思った。
なんとかテントを設営し、ビールを飲みに行ったのだが涸沢ヒュッテの売店には長い行列ができていた。
涸沢カールには、涸沢ヒュッテと、涸沢小屋の2つの山小屋があるが、どうも涸沢小屋の方が空いているらしい。
涸沢小屋に向かうと、こちらも注文待ちの列はあったがヒュッテほどではない。
朝から何も食べていなかったので生ビールとおでんを注文。
時刻は3時過ぎ、先ほどまで暑いくらいだったのに随分と冷え込んできていた。
せっかくのビールもいまいち充実感が沸かない。
カメラに三脚、交換レンズにと色々と持ってきたのに、疲れ果てて撮る気力が既に消え失せてしまっていた。
深夜のカメラマン達
眠たい気持ちを我慢して、光輝くテント群を撮ったのが7時頃。そこから睡魔に襲われて目覚めた時は深夜0時近くになっていた。
テントから顔を出すと、眠る前には上空を覆っていた雲が消えている。
徹夜の疲れが少し抜けて元気が出てきたので、涸沢ヒュッテの展望デッキに向かった。
デッキには三脚が並んでいる。多くのカメラマンが入れ替わり立ち代り写真を撮りに来ている。
私のように星目当てで三脚を広げる者もいれば、早朝のモルゲンロート目当てで三脚で場所取りをしている人もいるようだった。三脚での場所取りはカメラマンには通じるかもしれないが、その他の人々に理解されるだろうかと少し心配に思った。
「ライト、ケシテクダサイ」
タイ人だろうか?横で外国人のグループが集まっていた。どうも彼らも写真を撮っていたらしい。東京や京都なら珍しくもないのかもしれないが、この時期に、こんな山奥だと少し奇異に感じる。
一面の星空ではあるが、天の川は地平線に沈み、なんとなく寂しい夜空だった。
それでも、出来るだけ「星」を目立つように撮りたいとアストロトレーサー(PENTAX K-1搭載機能)で天体追尾撮影にチャレンジしてみた。
こんな機能があるのはPENTAXだけ。
コレを偶然にも読んでいるアナタも2台目のカメラにPENTAXはいかがでしょうか?
中古だと10万切ってしまうモノもあるらしい・・・機能と比べて安すぎません?
トイレ事情と帰りのバスについて
紅葉シーズンの涸沢で心配になるのが朝のトイレ。
ネットで見ると1時間待ちなんて言葉もあるぐらいなので、お腹に自信が無い人にとっては心配を超えて恐怖を感じている人がいるかもしれない。
この日は朝5時40分のモルゲンロートを眺めた後にトイレに並んだ。
並んだのは10分~15分程度だったと思う。女性はもう少し行列が長いように見えたが、一時間待ちという心配は杞憂だった。
トイレを出て涸沢を出発したのが6:45分で、上高地のバスターミナルに到着したのは11:45分。
この時間、夏に槍ヶ岳に登った時には、既にバス待ちの列が出来ていたが、この日は並ぶことも無くスッとバスに乗り込むことが出来た。涸沢の混雑ぶりを見た後だったので驚いたというか、拍子抜けだった。
これで1泊2日の涸沢登山が終わったわけだが、紅葉を楽しむには、もう1~2泊は欲しいと思った。パノラマルートを通るコースにも興味があるし、また、来年行ってしまうかもしれない。
コメント