私でも大キレット・槍ケ岳に登れるか?

撮影記

目的の山を探す、もしくは決めた後、ヤマップなどで他のユーザーの登山記を参考にすることはあると思う。

しかし、同じ山・ルートであったとしても、人によって所要時間や感想がバラバラだったりするので自分に当てはまるかどうか判断に悩むことはないだろうか?

個々の登山力は年齢や性別だけでは測ることは難しい。

一般的に体力が無いと思われる年配者・女性であってもタフな人もいっぱいいて、今回の山行でもバテバテの私の横を中年の女性が元気よく追い抜いていったし、逆に私よりも若い男の子が私以上に疲れ果てていたこともあった。

この夏に「槍ヶ岳・大キレット」を縦走してきた。

大天井岳で見た「槍」。その瞬間に来年はココと決めた。

大変なルートだと思っていたが、行ってみて、やっぱり私には厳しかった。

「思った以上に簡単」、「初心者でも登れた」、「〇〇の方が難しいぐらい」等々、ネットの体験談を鵜呑みにするのは少々危険だと思う。書く人・読む人の登山レベルに差があるからだ。

だから、先ずは私の登山レベルについて書いてみたい。

想定する読者は私と同じ「初級・登山者」で、初めて槍ケ岳、大キレットに行く。もしくは行こうと考えている人だ。これを読んでみて登山レベルが自分に近しいと思えば参考にしてもらえば良いし、私と同じ山(乾徳山)を登ってみて比較してもらうのもアリだと思う。

お粗末な体験談だが、初級・登山者にはヒントがあるかもしれない。

なお、載せてある写真は断りが無ければGRⅢで撮影しています。

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自分の登山レベルを考える

自身の登山レベルを晒すのは、ちょっと恥ずかしい。

こんなレベルで大キレットなんて言ったら、他の方々に「ぷぷっ」と笑われる気がする。

1.オジサン年齢。
2.仕事はデスクワーク。移動は電車か車。
3.運動の習慣なし
4.メタボ体形
5.階段を上ると息切れを感じる。
6.登山は年に数回。
7.鎖場の経験はほとんど無い。

さぁ、皆さんにも当てはまるだろうか?

体力不足で経験不足のオジサンである事は自覚してはいる。だから槍ケ岳に向かうまえに体力強化と鎖場の訓練として、山梨県にある「乾徳山」に登ってきた。。

山梨県の山のグレーディング表には、乾徳山の難易度はC(A易→E難)で日帰り可能な山として記載されている。この山の特徴は、鎖を使って高さ20mと言われるほぼ垂直な岩を登るところにある。

標準コースタイムが6時間※(休憩時間除く)。3~4キロの荷物を担いだ私が5時間50分。
ほぼ標準タイムではあるが、途中で足がつったりして、ゴール付近ではヘロヘロだった。

この山を登って私と同じ状態になる人は槍ヶ岳・大キレットはキツいかもしれない。

私の「槍・大キレット縦走」はクタクタのヘロヘロ。しかもヒヤッとする瞬間もあった。乾徳山で苦戦するぐらいだと体力面で心配だ。

そんな私だが鎖場の練習として挑んだ高さ20メートルの垂直な岩山は苦にしなかった。

槍ヶ岳を登って来た今でも、鎖場の比較という点では乾徳山の方が難しいと思う。緊張感を強いられるのは槍かもしれないが、槍は難しいところはハシゴが掛けられており、鎖で挑むようなことはないからだ。

これは大キレット(南岳→北穂高小屋)に関しても同様だと思う。今回歩いたルートでは北穂岳から涸沢小屋に向かう途中に乾徳山と同じぐらいの鎖場があった。

実は乾徳山に行く前に1回だけクライミングジムに通ってみたが、初級者レベル(下から3つ、4つの難度)を登っただけなので関係ないと思っている。

※ 乾徳山ルート(以下を往復)

乾徳山登山口→銀晶水→国師ケ原→扇平→乾徳山

当初の登山計画

上高地バスターミナルから入り、徳澤→横尾→槍ヶ岳という、いわゆる「槍沢コース」を歩く。

槍ヶ岳を頂上まで登った後は、南岳小屋へと移動、そこから大キレットを通って北穂高小屋→柄沢を経由してバスターミナルまで戻る。

日程は3泊4日(最長4泊5日)。すべてテント泊。

予報では雨もありそうで、場合よっては1日に歩く距離を減らし、宿泊数を増やす。

テント、カメラ機材を含むザックの総重量は約16キロ。これでも頑張って減らしたのだが、やはりカメラ機材がねぇ・・・

 

コース詳細 1日目

予定では上高地から入り、ババ平(テン場)で1泊の計画。しかし、ババ平の到着時刻が早ければ殺生ヒュッテまで足を延ばそうと考えていた。

週間予報では日が経つほど降水確率が高かったので先を急ぎたかったのだ。

河童橋。スタートは天候に恵まれた

上高地から横尾までは、ほとんど登りがない。順調に進んで槍沢ロッヂに到着したのは午前11:00頃。

槍沢ロッジから殺生ヒュッテまでは4~5時間だから、大丈夫だろうと考えたのが失敗だった。

寝不足気味の体に夏の容赦のない日差しが照りつける。いつになったら終わるのかと思う登りがダラダラと続いていく。途中、大きな音して、来た道を振り返るとヘリコプターが低空でホバリングしていた。

後で他の登山者に聞いて知ったのだが、登山道で人が倒れていたそうだ。

確かに数人の登山パーティが一ヶ所に固まっていて、通りがかった時、そのうちの一人から、

「先へ行って下さい」

と声を掛けられていたが・・・

まさか人が倒れていて、それに気づかないなんてね。

暑さと疲れで集中力を欠いていたようだ。

槍と殺生ヒュッテが見えてきた

殺生ヒュッテに着いたのは17:30分。槍沢ロッヂから6時間以上掛かっていることになる。

到着と同時に雷と強い雨が降り出し、雨の中でのテント設営。

外に出る気にもならず横になっていたら、いつの間にか眠ってしまった。

深夜に目が覚め、テントから這い出ると星が出ていた。

PENTAX D-FA24-70 48mm F3.5 8秒 ISO3200

 

1日目の活動時間:10時間30分(休憩時間含む)

コース詳細 2日目

朝から快晴。殺生ヒュッテは朝が早い。

5時過ぎには多くの登山者がテントを撤収し、次の目的地へと歩きだしていた。

殺生ヒュッテは岩場でテントスペースが狭かった

息を切らしながら1時間ほど掛けて槍ヶ岳山荘に到着。

山荘の入口付近に荷物を下ろし、最低限のものだけを行動用のリュックに積めて頂上を目指す。

他の登山者も皆、荷物は小屋のベンチに置いていた。

時間が早いせいか混雑もほとんど無く、山頂まで簡単に登ることができた。

登頂が想像以上に上手くいったので槍ヶ岳山荘でビールを一杯。

少しくらいなら酔う事も無いと、高を括っていた。

大喰岳付近から。遠くに槍ヶ岳山荘が見える

槍ヶ岳から南岳山荘へと向かうが、アルコールのせいかペースが上がらない。

私の横を何人もの登山者が追い抜いていく。

 

南岳山荘直前、最後の坂を下りている時のことだ。

山小屋とは反対側に目を向けると、恐ろしげな岩山が目に入った。岩山の頂上には微かに建物も見える。

記憶色に編集。彩度を落としている

快晴だった空も、いつの間にかどんよりと薄暗くなっており、不気味さを一層引き立てている。

「誰があんなところに登るんだ!?」

と思わず毒づいたが、後で他の登山者に聞いたら、あれが目指す「大キレット」だと知った。

恥ずかしくて、「明日は大キレットに行く予定です」とは言えなかった・・・

こんな細い尾根を通って、雲に隠れた頂きを目指します

南岳小屋はテント泊の人も頼むと夕食(弁当)を出してもらえる。ハンバーグプレートとカレーライスの二者択一。私はカレーライスを選んだ。

やはりアルファ米でない「お米」は美味しい。

カレーに一個100円の唐揚げを2個オンして幸せな夜を過ごした。

2日目の活動時間:6時間45分(休憩時間含む)

コース詳細3日目(大キレット)

朝5時に行動開始。

大キレットの入口は南岳小屋の直ぐ近く。標識を確認しつつ下っていく。

道は最初から急な下り道で、まだ難所は先だというのに緊張感が半端ない。

そして、すぐに道は危険度を増し、薄暗い谷底をのぞく細い道や、鎖場、長いハシゴが現れる。

とにかくゆっくりと

初めての経験でも、慌てず、確実に歩を進めれば何の問題もない。そう考えながら歩いていると白いペンキで「Hピーク」と書かれた場所に出た。

「え、これが長谷川ピーク?」

「大したことないじゃん!」

と一瞬、思ったのだが、この先こそが「本番」だった。

細く切り立った尾根のてっぺんに立ち、そこから薄暗い飛騨側へと身を乗り出していていく危険な箇所には鉄の足場が設けられているとは言え、何かのきっかけで足を滑らせれば、この世とはオサラバ。

上の写真だと左側が安全そうに見えるが、まったくそうでは無い。

ところで、細い尾根で道迷いとは考えられないかもしれないが、大キレットで2度、コースを迷った。

2回とも他の登山者が通りがかったお陰で事なきを得たが、もし、誰にも会わなければ無理をして滑落した可能性もあったと思う。

大キレット後半。北穂高小屋が見える。

長谷川ピーク、飛騨泣きというのが、大キレットの2大危険ポイントというが「飛騨泣き」は最後まで気づかなかった。もう一つ、すごいところがあるぞ、あるぞー、と構えていたが、気づかぬままに終わっていた。

最低鞍部から北穂高小屋まで続く登り道は運動不足の体には厳しい道だった。標準コースタイム3.5時間のところ、私は5時間も掛かってしまった。

大キレット終点の北穂高小屋。

祝杯だからと生ビールを飲んだが・・・

コース詳細3日目(北穂高→涸沢小屋)

北穂高から涸沢のテント場へ向けて歩き出したところで右膝が痛み出した。

ここからは下りだと軽く考えていたのに痛くて先に進めない。

道は急斜面の岩稜地帯で、どうしても足に負担が掛かる。右足を降ろすたびにズキッっとする。

後ろから来た高齢者パーティに道を譲る。

ふた回りぐらい年上の女性が追い抜きざまに「大丈夫ですか?」と声を掛けてきた。

北穂高からの下り。左横のテント場にオレンジのテントが見える

目の前には北穂高山荘のテン場がみえる。一瞬、今日はココに泊まろうかと思ったが、宿泊手続きでまた小屋まで登り直す気になれなかった。ここのテン場は小屋まで遠いのだ。

涸沢まで下りると決め、膝にテーピングをして歩き出す。

すると今度は前から歩いてきた真っ黒に日焼けした屈強なパトロール隊員に声を掛けられた。

「今日はどちらからですか?」

この時の私はよっぽど酷い様子に見えたんだろう。酒気帯びのヘロヘロ登山者なんて自分でも酷いと思う

幸いなことに、しばらく歩いていると体が温まってきたのか、膝の痛みがスッと引いた。

しかし、この道も決して安全・安心・簡単ではない。ルート後半には長い鎖場(南陵取付)があり、こちらは乾徳山よりも長いと感じた。乾徳山の鎖場が駄目なら、こちらも難しいだろうと思う。

標準コースタイム2時間のところ、3.5時間かけて涸沢小屋に到着。

なによりも涸沢小屋のソフトクリームが最高に旨かった。

月が明るすぎて撮影には不向きな夜だった

 

3日目の活動時間:8時間45分(休憩時間含む)

最終日

この日は涸沢は「モルゲンロート」で美しく輝いたらしい・・・というのもモルゲンロートというものを見た事がなく、これがモルゲンロートと断定できない。

テントから顔を出すと、小屋のテラスでは多くの人集まって携帯電話を高く掲げていた。

モルゲンロート?

寝る前に貼った湿布の効果か、膝の痛みはほとんど無かった。

上高地バスターミナルへ向けて登山道を下る。

昨日までヘロヘロだったのに今日は元気が溢れでて、次々と登山者を追い抜いていく。

途中で食べた徳澤のカレーが旨かった。

 

4日目の活動時間:4時間50分(休憩時間含む)

 

最後に反省

とにかく体力不足。

槍ケ岳、大キレットと、行く前は技術ばかり気にしてたけど何より考えるべきは体力でした。

それが今回の反省点。

でも雑誌の槍ヶ岳特集などを見てると、どうしても梯子や鎖に意識が行きがちになる。

信州の山のグレーディングを見ると、槍ヶ岳の技術難易度は「C」。これって乾徳山と変わらないんだよね。

だから技術よりも、体力不足で集中力を欠いたことの方が怖かった。

大キレットで道迷いしたのも、ちょっと集中力を欠いていたからだ。

あの時、他の登山者に声を掛けられなければ、どんどん深みにハマってしまったかもしれない。

そう思うと、やっぱり体力は大事だなと感じました。

 

 

 

 

撮影記PENTAX-D FA 24-70mmF2.8アウトドア
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Camera to motorcycle

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